
ねてください』と願わずにいられません。
私は、冬に三回目の入院生活をして、一期一会の出会いがありました。その患者さんは、大変セーナー苑について詳しいので、いろいろ聞いてわかったのですが、「うちの会社、今、セーナー苑の工事を施工していて、入院前、よく行っていたので」ということでした。
そして三月十八日、竣工式で、感謝状を頃かれ、K会社の方とわかりました。
のびのびと余生を楽しんで、暮らしていける場所として、これ以上の物ができないと思えるほど、りっぱな施設が完成しました。
花として二番目の施設「ほほえみの丘」工事関係者方々の努力と感謝の気持ちを忘れず、私達、保護者も大切に活かしていきたいものだと思っています。
義妹の居た寮は、今度、男子寮として使われ、それにともないトイレを改善する等、経費もかかるとの事。目に見えない費用のためにも、これからも保護者の、人として建設募金の協力に、奉行していかねばと思っています。みなさんの協力を切にお願いします。
点滴
大移動
去る四月一日「ほほえみの丘」が開所した。セーナー苑改築事業の第二期工事として、重度高齢者棟という位置づけてつくられた。
開所に向けて、三ケ月以上も前からいろんな準備をはじめたが、これが予想以上に大変であった。移動する利用者を誰にするのか、職員の配置はどうするか、引っ越しはいつするか、身の廻り品や寝具をどうするか等々。毎日のように議論が続けられた。何しろこれは、単に「ほほえみの丘」に入所する八十名の利用者だけでなく、あまり影響を受けない授産、児童の利用者を除く、更生施設二百四十名全体に関わるほゞ全苑的な大移動であった。
利用者の状態、個性、人間関係など考慮すべき点が多く、関係職員には大変ご苦労をかけた。保護者の皆さんに連絡する日も決められており、それに間に合わせるために、連日会議を重ね、最終決定ができたのは、前日位であったと思う。
引っ越しについては、一斉に行うのは物理的にも無理があるということで、保護者会のご理解を得て一時帰省を実施。さらにボランティアの方々にもご支援を頂き、何とか無事に完了することができた。
さて、新体制になって、予測されたことではあったが、「ほほえみの丘」は勿論、更生各課でもいろんな混乱がみられた。もとの居住棟に戻りたがる人、新しい環境や人間関係になしめずにおちこむ人、興奮する人など様々である。特に「ほほえみの丘」では、自分の部屋が分からない人、便所が見つからないでおもらしをする人等々(これは職員も似たような状態で混乱に輸をかけた?)であった。また、食事も八十名が食堂で一斉にとることになるが、重度の利用者では摂食介助や誤飲防止など、精神的にも肉体的にも大変な苦労を強いられているようである。
セーナー苑三十年の歴史の中で、今度のような変革は多分初めてのことであったと思われる。利用者の順応と職員の頑張りで、最近はようやく落ちつきが戻りつつあるようだ。
新しい施設づくりを目指しているが、今回は多くのことを学ばせてもらった。こうした教訓を、これからの「わかくさの丘」、「やまびこの丘」、「のぞみの丘」に是非生かしていかねばと思っている。馴れない環境で懸命に生活している利用者や、今なお自主的に早朝出勤し、遅くまで黙々とがんばってくれている職員の労苦に報いるために。そして、改築に多大なご支援を頂いた多くの方々の、善意と期待に応えるためににも。(乃)
前ページ 目次へ 次ページ
|

|